焼却炉を解体する前に調査は必要?ダイオキシン類対策と安全な施工のポイント

焼却炉はすぐに解体できる設備ではありません

東京都で古い工場・事業所・廃棄物焼却施設などに残された焼却炉を撤去する場合、「使用していない設備だから、そのまま解体できる」と考えるのは注意が必要です。

廃棄物焼却施設では、焼却炉本体だけでなく、集じん機・煙道・排煙冷却設備などに、ダイオキシン類を含む灰や付着物が残っている可能性があります。

厚生労働省は、廃棄物焼却施設の解体作業などについて、ダイオキシン類へのばく露を防止するための対策要綱を定めています。

そのため焼却炉の撤去では、事前調査→汚染状況の把握→施工計画→除染→解体という順序で進めることが重要です。

なぜ解体前の調査が必要なのか?

焼却炉内部のダイオキシン類による汚染状況は、外から設備を見ただけでは判断できません。

施設によって、

・過去に焼却していた廃棄物
・焼却設備の構造
・稼働期間
・集じん設備の種類
・灰や付着物の残存状況
・過去の清掃、メンテナンス状況

などが異なるためです。

事前に汚染状況を確認することで、必要な保護具や作業区域、除染方法、廃棄物の取り扱いなどを計画できます。

最初に施設の資料を確認する

焼却炉解体を計画するときは、まず施設に関する資料を整理します。

例えば、

・焼却施設の図面
・設備配置図
・焼却能力
・過去の使用状況
・ダイオキシン類の測定結果
・設備の改修履歴
・残留灰に関する情報

などです。

厚生労働省の対策要綱では、施設管理者から解体作業を行う事業者に対し、施設図面や一定の測定結果、残留灰の堆積場所などの情報を提供することが示されています。

資料が残っていない場合でも、自己判断で解体を進めず、現地の設備状況を確認することが大切です。

汚染物のサンプリング・分析を行う

焼却施設では、設備内部の汚染物を採取し、ダイオキシン類の含有量を測定して汚染状況を把握します。

調査対象として考えられるのは、

・焼却炉内部
・集じん機
・煙道
・排煙設備
・焼却灰、飛灰
・設備内部の付着物

などです。

調査結果によって作業区域や使用する保護具、除染方法などが変わるため、分析は安全な解体計画を立てるうえで重要な工程となります。

調査結果から管理区域を決める

厚生労働省の対策要綱では、空気中のダイオキシン類濃度や解体対象設備の汚染状況などに応じて管理区域を設定し、それぞれに適したばく露防止対策を行う考え方が示されています。

作業内容によっては、

・作業区域の隔離
・ビニールシート等による養生
・粉じん発散防止
・適切な呼吸用保護具
・保護衣
・汚染物の管理

などが必要になります。

つまり、調査結果を確認せずに解体方法を決めるのではなく、調査結果から施工方法を決めることが重要です。

解体前に焼却炉を除染する

ダイオキシン類による汚染が確認された焼却設備では、必要な付着物除去・除染を行ってから解体を進めます。

焼却炉や煙道、集じん設備などには、灰や粉じん、その他の付着物が残っていることがあります。

設備の状態に応じて洗浄などを行い、汚染物を除去します。

ただし、洗浄によって発生する排水や除去した付着物も汚染されている可能性があるため、適切に管理・処理しなければなりません。

一定規模以上では工事前の届出にも注意

焼却炉の規模によっては、工事開始前の計画届が必要になります。

厚生労働省の対策では、火格子面積2㎡以上または焼却能力が1時間当たり200kg以上の廃棄物焼却炉を有する施設で一定の解体作業を行う場合、工事開始日の14日前までに所轄労働基準監督署長へ計画を届け出る必要があります。

そのため、「来週から焼却炉を壊したい」と依頼しても、施設や工事内容によってはすぐ着工できない場合があります。

調査・分析・施工計画・届出に必要な期間を考慮し、余裕を持って準備しましょう。

解体中の粉じん・排水対策も必要

焼却炉の安全な解体では、作業員のばく露防止だけでなく、作業区域外へ汚染を拡散させないことも重要です。

作業方法に応じて、

・湿潤化
・隔離、養生
・粉じんの飛散防止
・汚染排気の処理
・汚染排水の処理
・除去物の密閉管理

などを行います。

特に東京都の市街地では、周辺に住宅や事業所がある施設も少なくありません。

周辺環境への影響まで考えた施工計画が重要です。

解体廃棄物も適正に処理する

焼却炉を除染・解体すると、

・除去した灰や付着物
・金属類
・耐火材
・設備部材
・使用した養生材

など、さまざまな廃棄物が発生します。

ダイオキシン類に汚染された廃棄物については、飛散・流出などを防ぎながら、関係法令に従って適切に処理する必要があります。

「焼却炉を撤去して終わり」ではなく、調査から廃棄物処理までを一つの工事として計画することが大切です。

アスベスト事前調査も忘れずに

古い焼却施設では、ダイオキシン類だけに注意すればよいわけではありません。

焼却炉周辺の建築物や配管、断熱材、耐火材などにアスベスト含有建材が使用されている可能性があります。

建築物の解体・改修では、原則として工事対象となる材料について石綿事前調査が必要です。

さらに2026年1月1日からは、一定の工作物についても資格要件を満たす調査者による事前調査が必要となっています。

焼却設備と建物を一緒に撤去する場合は、ダイオキシン類とアスベストの両面から調査計画を立てましょう。

古い電気設備ではPCBも確認

工場や焼却施設に古い変圧器・コンデンサーなどが残されている場合は、PCBについても確認が必要です。

特に低濃度PCB廃棄物は、2027年3月31日が処分期限となっています。

したがって古い施設の解体では、

焼却設備 → ダイオキシン類
建築物・工作物 → アスベスト
変圧器・コンデンサー → PCB

という3つの視点から有害物質を確認すると、解体開始後の工程変更や追加工事を防ぎやすくなります。

東京都の焼却炉解体・ダイオキシン対策なら株式会社 葵工業へ

焼却炉の解体には、設備確認、ダイオキシン類の調査・分析、除染、養生、解体、廃棄物処理など専門的な対応が必要です。

また、古い工場や焼却施設では、アスベスト・PCBなど別の有害物質が確認される可能性もあります。

株式会社 葵工業では、東京都を中心に有害物質対策や解体工事についてご相談いただけます。

「使用していない焼却炉を撤去したい」「工場を閉鎖するので設備を解体したい」「ダイオキシン・アスベスト・PCBをまとめて相談したい」といった場合は、工事計画の早い段階から株式会社 葵工業へお問い合わせください。

まとめ

焼却炉の解体では、工事を開始する前に設備の構造や使用履歴、ダイオキシン類による汚染状況などを確認することが重要です。

その結果をもとに管理区域、保護具、養生、除染方法、廃棄物処理などを計画し、安全に解体を進めます。

特に古い工場・焼却施設では、ダイオキシン類・アスベスト・PCBを総合的に確認することが重要です。

東京都で焼却炉や工場設備の撤去を検討している場合は、解体直前ではなく計画段階から専門業者へ相談しましょう。