アスベスト除去前に必要な準備とは?調査・届出・隔離から工事開始まで解説

アスベスト除去工事は「すぐに剥がす」工事ではありません

東京都でビル・工場・倉庫・店舗・住宅などの解体や改修を予定している場合、古い建物ではアスベスト(石綿)への対応が必要になることがあります。

アスベスト含有建材が見つかった場合、すぐに除去作業を始めるわけではありません。

安全に工事を進めるためには、

事前調査
↓
必要に応じた分析
↓
調査結果の整理
↓
必要な届出・報告
↓
施工計画
↓
養生・隔離などの飛散防止対策
↓
アスベスト除去

という準備が重要です。

今回は、アスベスト除去工事を始める前に確認したいポイントを解説します。

まず必要なのがアスベスト事前調査

建築物の解体・改修工事では、原則として工事対象となる材料について、アスベスト含有の有無を事前に調査する必要があります。

重要なのは、

「建物が古そうだから調査する」

「新しそうだから調査しない」

という判断ではないことです。

工事対象となる建材について、設計図書などの書面確認と現地での目視確認を行い、アスベスト含有の有無を調べます。

事前調査は有資格者が行う

建築物のアスベスト事前調査は、原則として必要な知識を持つ資格者が行います。

建築物については、2023年10月1日から一定の資格を持つ「建築物石綿含有建材調査者」などによる調査が必要となっています。

さらに2026年1月1日からは、一定の工作物についても資格者による事前調査が必要となっています。

工場・プラントなどでは、建築物だけではなく設備や工作物が工事対象になることもあるため、対象物に応じた調査が重要です。

書面調査と現地調査を行う

アスベスト事前調査では、まず設計図書・仕様書・改修履歴などを確認します。

そのうえで現地を確認し、

・吹付け材
・耐火被覆材
・保温材
・断熱材
・天井材
・床材
・外壁材
・屋根材
・仕上塗材
・配管周辺

など、工事で取り扱う材料を確認します。

特に古い工場では、建物本体だけでなく、配管・ボイラー・ダクトなどの周辺に使用された保温材や断熱材にも注意が必要です。

書面や目視で判断できなければ分析を検討

建材のアスベスト含有の有無を、書面調査や目視だけで判断できない場合があります。

その場合は、建材から試料を採取して分析を行う方法があります。

また、アスベストが含まれているものとして扱い、必要な飛散防止措置を行う方法が選択される場合もあります。

工事費用や施工方法にも影響するため、解体直前ではなく、余裕を持って調査を実施することが重要です。

事前調査結果の報告が必要な工事もある

一定規模以上の工事では、アスベスト事前調査結果を行政へ報告する必要があります。

代表的な基準として、

建築物の解体工事:対象建築物の床面積合計80㎡以上

建築物の改修工事:請負代金の合計100万円以上(税込)

一定の工作物の解体・改修工事:請負代金の合計100万円以上(税込)

などがあります。

ただし、ここで注意したいのは、報告対象にならない小規模工事でも、事前調査そのものが不要になるわけではないという点です。

「80㎡未満だからアスベスト調査は不要」と判断しないようにしましょう。

アスベストが見つかったら施工方法を決める

事前調査・分析によってアスベスト含有建材が確認されたら、建材の種類・状態・作業方法などに応じて施工計画を立てます。

例えば、

・どの範囲を除去するのか
・どのように養生するのか
・隔離が必要か
・湿潤化をどのように行うか
・集じん・排気装置が必要か
・作業員の出入口をどう管理するか
・除去した廃棄物をどう搬出するか

などを検討します。

アスベスト除去では、除去作業そのものだけでなく、飛散させないための準備が非常に重要です。

すべてのアスベスト除去で同じ隔離をするわけではない

「アスベスト除去=必ず全面を負圧隔離する」と思われることがありますが、実際には建材の種類や作業方法によって必要な措置が異なります。

例えば、一定の吹付け石綿や石綿含有保温材等を切断・破砕して除去する作業では、作業場所を隔離し、集じん・排気装置を使用して負圧状態を保つなど厳格な措置が必要になります。

一方、成形板などについては、原形のまま取り外すことを基本とするなど、別の飛散防止措置が適用されます。

重要なのは、アスベストがあるかどうかだけでなく、建材の種類と施工方法に応じて対策を決めることです。

隔離・負圧管理が必要な工事とは?

一定のアスベスト除去工事では、作業場所を外部から隔離します。

さらに集じん・排気装置を使用し、作業区域内を外部より低い圧力に保つ「負圧管理」を行います。

これにより、作業区域内で発生した石綿粉じんが外部へ漏れ出すことを防ぎます。

工事内容によっては、

・隔離養生
・前室
・洗身室
・更衣室
・集じん・排気装置
・負圧確認

などを適切に設置・管理します。

集じん・排気装置も重要

負圧隔離を行う工事では、集じん・排気装置が重要な役割を持ちます。

一般的に高性能なHEPAフィルターなどを使用して、作業区域内の空気をろ過して排気します。

装置を設置すれば終わりではありません。

作業開始後や装置の変更時などには、排気口から粉じんが漏れていないか確認することが重要です。

また、必要な作業では負圧状態が適切に維持されているかを確認しながら工事を進めます。

湿潤化して粉じんの発生を抑える

アスベスト含有建材を乾燥した状態で破砕すると、石綿粉じんが飛散しやすくなります。

そのため、施工方法に応じて建材を湿潤な状態にするなど、粉じんの発生を抑える対策を行います。

ただし、電気設備の近くなど、水を使用することで別の危険が発生する場所もあります。

現場条件を確認したうえで、適切な方法を選択することが重要です。

除去工事前に届出が必要になる場合もある

アスベスト除去工事の内容によっては、工事開始前に行政への届出が必要になります。

特に一定の吹付け石綿や石綿含有保温材・耐火被覆材・断熱材などを除去する工事では、法令に基づく届出が必要となる場合があります。

対象となる工事では、工事開始の14日前までに必要な手続きを行うケースがあります。

そのため、解体工事の日程だけを先に決めてしまうと、アスベスト調査・分析・届出の期間が不足する可能性があります。

工事スケジュールには余裕を持たせましょう。

除去したアスベスト廃棄物の搬出も計画する

アスベスト除去工事では、除去した建材を現場に放置するわけにはいきません。

建材の種類などに応じて適切に梱包・保管し、必要な方法で搬出・処理します。

そのため施工前には、

・除去量
・梱包方法
・一時保管場所
・搬出経路
・収集運搬
・処分先

なども計画しておくことが重要です。

ビルや工場では搬出経路が限られている場合もあるため、事前確認が必要です。

工場ではPCB・ダイオキシン類も同時に確認

古い工場や事業所を解体する場合、アスベストだけを確認すればよいとは限りません。

古い変圧器やコンデンサーなどにはPCBを含む、またはPCBに汚染された設備が残されている可能性があります。

また、焼却炉・集じん機・煙道などがある施設では、ダイオキシン類への対策が必要になる場合があります。

そのため工場解体では、

建材・保温材など → アスベスト

変圧器・コンデンサーなど → PCB

焼却炉・煙道・集じん設備など → ダイオキシン類

という視点で、有害物質を総合的に確認することが重要です。

東京都のアスベスト調査・除去なら株式会社 葵工業へ

株式会社 葵工業では、東京都を中心にアスベスト事前調査・分析・除去から、工場・ビルなどの解体や有害物質対策についてご相談いただけます。

「解体前にアスベストを調べたい」

「アスベストが見つかったが、何から始めればいいか分からない」

「除去工事の養生や隔離について相談したい」

「工場のPCBやダイオキシン類も確認したい」

「有害物質対策から解体までまとめて相談したい」

という場合は、工事開始直前ではなく、計画段階から株式会社 葵工業へお問い合わせください。

まとめ

アスベスト除去工事では、実際に建材を除去する前の準備が重要です。

基本的には、

事前調査
↓
必要に応じて分析
↓
調査結果の報告・必要な届出
↓
施工計画
↓
養生・隔離・飛散防止対策
↓
アスベスト除去
↓
廃棄物の適正処理

という流れを考えます。

また、古い工場ではアスベストだけでなく、PCBやダイオキシン類への対応が必要になることもあります。

東京都で建物・工場の解体を計画している場合は、アスベスト・PCB・ダイオキシン類まで含めた事前確認を早い段階から進めることが、スムーズな工事につながります。